本日訪問診療でお伺いした患者様。
月に一度の入れ歯の経過観察でした。
特に痛みもなく、なんでも食べられると聞きホッとしました。
入れ歯が完成し、装着したのは10月でした。
入れ歯が完成した日に、咬み合わせや、当たりの強いところを調整し、次回の訪問のお約束をし、私が帰った後すぐに、大好物のサブレを召し上がったそうです。
今までは歯がなく、咬めないとのことで、牛乳でふやかして、柔らかくなってから食べていたとのことでした。
現在は硬い物も咬めると、とても喜んでいらっしゃいます。
施設に入所後、今まで使用していた入れ歯は粉々に壊れてしまい、入れ歯のない生活をしていらっしゃいました。
もちろん、ご自身の歯はありませんのでしっかりと咬むことはできません。
それで、食事は全てミキサーでドロドロにしたものを食べていたそうです。
何故自分はこんなドロドロな物を食べさせられるのか?形のあるものを食べさせてもらえないのか?とたいそう悲しんでらっしゃいました。
体重もどんどん減っていき、心配した奥様が、ケアマネジャーさんに相談したところ、歯科の訪問診療をしてくれるところを探しましょうということで当院に連絡が来ました。
新しい入れ歯が入った現在では、なんでも食べることができるようになり、体重も増加してきています。
我々歯科医師は、食べるということは単純にカロリーを摂取することではないと考えております。
食べ物を見て食欲が湧き、味や、食感を楽しむ。
それが美味しく食べるということだと思っています。
歯科でできることは限られています。
しかし、お口から、美味しく安全に食べるということは、歯科治療が密接に関与しています。
しっかり咬めるようにする。
お口の中を清潔に保つ。
それだけでも、美味しく、安全に食べることが出来ます。
食べられないのはどこに問題があるのか?
入れ歯?歯周病?虫歯?舌の動きが悪い?飲み込む力が弱い?タイミングが悪い?
そういった、いろいろな問題点を診査し、トータル的なケアをおこなっていく必要があります。
今回の患者様の経緯、症例について、御本人、ご家族から、ブログへの掲載の許可を得ております。
歯科の訪問診療がある事を知らない方がまだたくさんいらしゃると言うことで、少しでも多くの人に認知されればということでした。
もし、通院困難な方がいらっしゃいましたら、一度ケアマネージャーさんや、その地域の歯科医師会に相談するといいと思います。
もちろん当院にお問い合わせいただければ対応させていただきます。
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