2026年6月10日水曜日

熱中症対策のつもりが、むし歯の原因に?



少しずつ暑くなってきました。

この時期から気をつけたいのが「熱中症」です。

熱中症予防には、こまめな水分補給、暑さを避けること、無理をしないことが大切です。

暑くなると、「熱中症対策」としてスポーツドリンクや塩分タブレットを手に取る方も多いのではないでしょうか。

「熱中症対策に良さそう」
「水より体に良さそう」
「子どもに持たせておけば安心」

そう思っている方も多いかもしれません。

しかし、歯科の立場から見ると、スポーツドリンクや塩分タブレットの使い方には注意が必要です。


スポーツドリンクは「水」ではありません

スポーツドリンクには、糖分や塩分が含まれています。

たとえば、500mlのスポーツドリンクには、商品によって約20〜30g前後の糖分が含まれているものがあります。

これは、歯にとって決して少ない量ではありません。

特に注意したいのは、

  • ちびちび飲むこと
  • 一日かけて飲むこと
  • 水代わりに毎日飲むこと

です。

糖分を含む飲み物がお口の中に入る時間が長くなると、むし歯のリスクが高くなります。

また、スポーツドリンクは酸性のものが多く、歯の表面が少しずつ溶けてしまう「酸蝕症」にも注意が必要です。


スポーツ選手でも、お口のトラブルは少なくありません

「スポーツをしている人はみんな飲んでいるから大丈夫」
と思う方もいるかもしれません。

しかし、実際にはスポーツ選手でも、むし歯や歯ぐきのトラブルが多く見られることがあります。

海外の研究では、オリンピック選手やプロ選手の多くが毎日しっかり歯みがきをしているにもかかわらず、むし歯や歯ぐきの炎症、酸蝕症などが見られたと報告されています。

その背景のひとつとして、スポーツドリンク、エナジージェル、エナジーバーなどを頻繁にとることが指摘されています。

つまり、歯みがきをしていても、糖分や酸を何度も口にしていれば、お口のリスクは高くなるということです。


熱中症対策としても、万能ではありません

スポーツドリンクも、必要な場面はあります。

たとえば、炎天下で長時間運動する場合や、大量に汗をかく作業をする場合です。

しかし、日常生活や短時間の外出、軽い運動のたびにスポーツドリンクが必要とは限りません。

塩分は食事からある程度とれています。

日常の水分補給は、水や麦茶で十分なことも多いです。

スポーツドリンクは、必要な場面で使うものであり、水代わりに毎日飲むものではありません。


塩分タブレットも注意が必要です

塩分タブレットも「熱中症対策」として使われることがあります。

汗をたくさんかいたときに塩分を補うこと自体は大切です。

ただし、多くの塩分タブレットには、糖分や酸が含まれているものがあります。

歯科的に見ると、塩分タブレットは「塩分」だけではなく、糖分を含むお菓子に近い面もあります。

さらに、タブレットは口の中でなめたり、噛んだり、溶かしたりして食べます。

そのため、歯に糖分や酸が触れる時間が長くなりやすいのです。

「熱中症対策だから」と何度もなめる習慣は、むし歯や酸蝕症のリスクにつながることがあります。


脱水が疑われるときは経口補水液を

実際に脱水が疑われる場合は、スポーツドリンクよりも経口補水液が適しています。

経口補水液は、脱水時に失われた水分と電解質を補うために作られた飲み物です。

ただし、経口補水液も日常的に飲むものではありません。

普段の水分補給として毎日飲むのではなく、必要なときに使うものです。

また、ぐったりしている、意識がぼんやりしている、自力で飲めないといった場合は、飲み物で様子を見るのではなく、早めに医療機関を受診しましょう。


まとめ

スポーツドリンクや塩分タブレットは、大量に汗をかく運動や作業では、必要になる場面もあります。

しかし、日常的に水代わりに飲んだり、熱中症対策のつもりで何度もなめたりするものではありません。

スポーツドリンクや塩分タブレットは糖分を多く含んでいます。

熱中症対策の基本は、

  • 暑さを避けること
  • 無理をしないこと
  • 体を冷やすこと
  • こまめに水分をとること

です。

普段の水分補給は、水や麦茶を中心にしましょう。

「熱中症対策」のつもりが、むし歯を増やす習慣になっていないか。

暑くなるこの時期に、飲み物やタブレットの使い方を一度見直してみましょう。



2026年6月2日火曜日

お口の乾き、気になっていませんか?



「口の中がネバネバする」

「水がないと食事がしにくい」

「舌がヒリヒリする」

「口臭が気になる」


このような症状がある場合、口腔乾燥症、いわゆるドライマウスが関係しているかもしれません。


唾液には、お口の中を潤すだけでなく、汚れを洗い流す、細菌の増殖を抑える、食べ物を飲み込みやすくする、歯を守るといった大切な働きがあります。


唾液が減ると、口のネバつきやヒリヒリ感だけでなく、むし歯・歯周病・口臭・食べにくさ・話しにくさにつながることがあります。


口腔乾燥症の原因はさまざまです。


代表的なものには、加齢、ストレス、口呼吸、喫煙、脱水、薬の副作用、全身疾患などがあります。特に、睡眠薬や降圧薬などの薬の影響で唾液が少なくなることもあります。


また、口が乾くからといって水分をとるだけで改善するとは限りません。


唾液の量が少ないのか、口腔粘膜の潤いが低下しているのか、生活習慣やお薬が関係しているのかなど、原因を確認していくことが大切です。


当院では、口腔乾燥の状態を確認する方法のひとつとして、口腔水分計ムーカスを使用した検査を行うことがあります。


ムーカスは、舌の表面に専用のセンサーを軽く当てて、お口の中の潤いを数値で確認する機器です。測定は短時間で終わり、痛みもありません。


検査では、舌の先から少し奥の部分にセンサーを当てて測定します。口腔機能低下症の評価では、ムーカスなどの口腔水分計を用いて舌背中央部の口腔粘膜湿潤度を測定し、測定値が27.0未満の場合に口腔乾燥と判定されます。


「口が乾く」という感覚は、人によって感じ方に差があります。


同じくらい乾燥していても、強く不快感を感じる方もいれば、あまり自覚がない方もいます。


そのため、ムーカスのような機器で数値化することで、現在のお口の状態を客観的に確認しやすくなります。


また、保湿剤の使用、生活習慣の見直し、口腔ケアの改善などを行ったあとに、再度測定することで、状態の変化を確認しやすくなるのもメリットです。


お口の乾燥を放置すると、次のようなトラブルにつながることがあります。


  • むし歯になりやすくなる
  • 歯周病が悪化しやすくなる
  • 口臭が強くなる
  • 入れ歯がこすれて痛くなりやすい
  • 舌や粘膜がヒリヒリする
  • 食べ物を飲み込みにくくなる
  • 会話がしにくくなる


特にご高齢の方では、口腔乾燥は「食べる力」や「飲み込む力」とも関係します。


口腔機能低下症では、口腔衛生状態、口腔乾燥、咬合力、舌や唇の動き、舌圧、咀嚼機能、嚥下機能などを総合的に評価します。


口の乾きが気になる方は、まず次のようなことを意識してみましょう。


  • こまめに水分をとる
  • よく噛んで食べる
  • 口呼吸ではなく鼻呼吸を意識する
  • お口の保湿剤を活用する
  • アルコールや喫煙を控える
  • むし歯・歯周病の管理をしっかり行う
  • 服用中のお薬がある場合は、自己判断で中止せず、医師・歯科医師に相談する


ただし、乾燥の原因によって必要な対応は変わります。
「水を飲めばよい」というだけでは改善しない場合もあります。


お口の乾きは、日常生活の不快感だけでなく、むし歯、歯周病、口臭、食べにくさ、話しにくさなどにも関係します。


「最近、口が乾く」
「舌がヒリヒリする」
「口臭が気になる」
「食事中に水分がないと飲み込みにくい」


このような症状がある方は、我慢せずに一度ご相談ください。


ムーカスによる検査では、お口の潤いを短時間で数値として確認することができます。


お口の乾燥が気になる方は、早めに状態を確認し、必要に応じたケアを行っていきましょう。