少しずつ暑くなってきました。
この時期から気をつけたいのが「熱中症」です。
熱中症予防には、こまめな水分補給、暑さを避けること、無理をしないことが大切です。
暑くなると、「熱中症対策」としてスポーツドリンクや塩分タブレットを手に取る方も多いのではないでしょうか。
「熱中症対策に良さそう」
「水より体に良さそう」
「子どもに持たせておけば安心」
そう思っている方も多いかもしれません。
しかし、歯科の立場から見ると、スポーツドリンクや塩分タブレットの使い方には注意が必要です。
スポーツドリンクは「水」ではありません
スポーツドリンクには、糖分や塩分が含まれています。
たとえば、500mlのスポーツドリンクには、商品によって約20〜30g前後の糖分が含まれているものがあります。
これは、歯にとって決して少ない量ではありません。
特に注意したいのは、
- ちびちび飲むこと
- 一日かけて飲むこと
- 水代わりに毎日飲むこと
です。
糖分を含む飲み物がお口の中に入る時間が長くなると、むし歯のリスクが高くなります。
また、スポーツドリンクは酸性のものが多く、歯の表面が少しずつ溶けてしまう「酸蝕症」にも注意が必要です。
スポーツ選手でも、お口のトラブルは少なくありません
「スポーツをしている人はみんな飲んでいるから大丈夫」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、実際にはスポーツ選手でも、むし歯や歯ぐきのトラブルが多く見られることがあります。
海外の研究では、オリンピック選手やプロ選手の多くが毎日しっかり歯みがきをしているにもかかわらず、むし歯や歯ぐきの炎症、酸蝕症などが見られたと報告されています。
その背景のひとつとして、スポーツドリンク、エナジージェル、エナジーバーなどを頻繁にとることが指摘されています。
つまり、歯みがきをしていても、糖分や酸を何度も口にしていれば、お口のリスクは高くなるということです。
熱中症対策としても、万能ではありません
スポーツドリンクも、必要な場面はあります。
たとえば、炎天下で長時間運動する場合や、大量に汗をかく作業をする場合です。
しかし、日常生活や短時間の外出、軽い運動のたびにスポーツドリンクが必要とは限りません。
塩分は食事からある程度とれています。
日常の水分補給は、水や麦茶で十分なことも多いです。
スポーツドリンクは、必要な場面で使うものであり、水代わりに毎日飲むものではありません。
塩分タブレットも注意が必要です
塩分タブレットも「熱中症対策」として使われることがあります。
汗をたくさんかいたときに塩分を補うこと自体は大切です。
ただし、多くの塩分タブレットには、糖分や酸が含まれているものがあります。
歯科的に見ると、塩分タブレットは「塩分」だけではなく、糖分を含むお菓子に近い面もあります。
さらに、タブレットは口の中でなめたり、噛んだり、溶かしたりして食べます。
そのため、歯に糖分や酸が触れる時間が長くなりやすいのです。
「熱中症対策だから」と何度もなめる習慣は、むし歯や酸蝕症のリスクにつながることがあります。
脱水が疑われるときは経口補水液を
実際に脱水が疑われる場合は、スポーツドリンクよりも経口補水液が適しています。
経口補水液は、脱水時に失われた水分と電解質を補うために作られた飲み物です。
ただし、経口補水液も日常的に飲むものではありません。
普段の水分補給として毎日飲むのではなく、必要なときに使うものです。
また、ぐったりしている、意識がぼんやりしている、自力で飲めないといった場合は、飲み物で様子を見るのではなく、早めに医療機関を受診しましょう。
まとめ
スポーツドリンクや塩分タブレットは、大量に汗をかく運動や作業では、必要になる場面もあります。
しかし、日常的に水代わりに飲んだり、熱中症対策のつもりで何度もなめたりするものではありません。
スポーツドリンクや塩分タブレットは糖分を多く含んでいます。
熱中症対策の基本は、
- 暑さを避けること
- 無理をしないこと
- 体を冷やすこと
- こまめに水分をとること
です。
普段の水分補給は、水や麦茶を中心にしましょう。
「熱中症対策」のつもりが、むし歯を増やす習慣になっていないか。
暑くなるこの時期に、飲み物やタブレットの使い方を一度見直してみましょう。


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