2026年9月25日金曜日

むし歯は家族から子どもにうつる?


「子どもと同じ箸やスプーンを使ってはいけませんか?」


小さなお子さんのいる保護者の方から、聞かれることがあります。


結論からいうと、むし歯に関係する細菌が、唾液を介して家族から子どもへ伝わることはあります。


ただし、同じ箸を一度使ったからといって、それだけで子どもがむし歯になるわけではありません。


食器の共有だけに神経質になる必要はありません


箸やスプーンを共有しないことは、むし歯に関係する細菌が伝わる機会を減らす方法のひとつです。


ただ、親子で生活していれば、食器以外にもさまざまな接触があります。


食器だけを厳密に分けても、細菌が伝わる機会を完全になくすことはできません。


そのため、食器の共有だけに神経質になるよりも、毎日の食習慣やフッ化物を使った歯みがき、仕上げ磨きなどを続けることのほうが大切です。


食器を一度共有してしまったからといって、強く後悔したり、自分を責めたりする必要はありません。


日本小児歯科学会も、食器を共有しないことだけではなく、養育者自身がむし歯や歯周病を治療し、お口の中を健康に保つことが大切だとしています。


むし歯は細菌だけで決まるわけではありません


むし歯のなりやすさには、細菌だけでなく、甘い物を口にする回数、歯みがき、唾液、歯の質、フッ化物の使用など、さまざまな要素が関係しています。


特に注意したいのが、ジュースや乳酸菌飲料、お菓子などを何度も口にする「だらだら食べ」です。


甘い物は量だけでなく、食べたり飲んだりする回数も意識しましょう。


家庭で大切にしたいこと


むし歯予防のためには、次のような習慣が大切です。


- おやつは時間を決める


- 甘い飲み物を水やお茶の代わりにしない


- 年齢に合ったフッ化物配合歯磨剤を使う


- 保護者の方が仕上げ磨きをする


- 家族もむし歯や歯周病を放置しない


- 定期的に歯科医院で確認する


歯が生えてから2歳までは、900~1,000ppmFの歯磨剤を米粒程度、3~5歳ではグリーンピース程度使用するのが目安です。


まとめ


むし歯に関係する細菌は、家族から子どもへ伝わることがあります。


ただ、むし歯は「菌がうつったかどうか」だけで決まる病気ではありません。


食器の共有だけに神経質になるよりも、毎日の食習慣、フッ化物を使った歯みがき、仕上げ磨きを続けることのほうが大切です。


家族みんなでお口の環境を整えていきましょう。

2026年9月8日火曜日

歯ぐきから血が出るけど、歯みがきは続けていい?




「歯みがきをすると、歯ぐきから血が出ます」


「血が出るところは、磨かないほうがいいですか?」


患者さんから、このような質問をいただくことがあります。


血を見ると、「歯ブラシで傷つけてしまったのでは?」と心配になりますよね。


結論としては、少し血が出る程度であれば、歯みがきを中止する必要はありません。


力を入れてゴシゴシ磨くのではなく、歯ブラシの毛先をやさしく当てて、丁寧に磨き続けることが大切です。


なぜ歯ぐきから血が出るの?


歯みがきのときに出血する原因として多いのが、歯ぐきの炎症です。


歯と歯ぐきの境目に、細菌のかたまりである「歯垢(プラーク)」が残っていると、歯ぐきに炎症が起こります。


炎症を起こした歯ぐきは、赤く腫れ、少し触れただけでも出血しやすくなります。


これは、歯肉炎や歯周病でよく見られる症状です。


血が出るからといって、その部分を磨かずにいると、歯垢がさらにたまり、炎症が改善しにくくなります。


そのため、出血する部分も避けずに、やさしく清掃する必要があります。


血を出したほうが治るわけではありません


ここで注意したいのが、「悪い血を出せば歯ぐきが治る」という考え方です。


出血させること自体に、歯周病を治す効果があるわけではありません。


大切なのは、炎症の原因となっている歯垢を取り除くことです。


血を出そうとして歯ぐきを強くこすると、歯ぐきを傷つけたり、歯ぐきが下がる原因になったりすることがあります。


「出血させる」のではなく、「歯垢をやさしく取り除く」ことを意識しましょう。


どのように磨けばいい?


歯ぐきから血が出るときは、次の点を意識してみてください。


  • 歯ブラシは「ふつう」または「やわらかめ」を選ぶ

  • 毛先を歯と歯ぐきの境目に当てる

  • 毛先が大きく広がらない程度の軽い力で磨く

  • 小刻みに動かす

  • 1日2回、特に寝る前は丁寧に磨く

  • 歯と歯の間には、デンタルフロスや歯間ブラシを使う


歯ブラシだけでは、歯と歯の間の歯垢を十分に取り除くことができません。


歯と歯の間から出血する場合は、デンタルフロスや歯間ブラシによる清掃も大切です。


ただし、サイズの合わない歯間ブラシを無理に押し込むと、歯ぐきを傷つけることがあります。


どの道具を使えばよいか分からない場合は、歯科医院で確認してもらいましょう。


磨いていれば出血は治る?


軽い歯肉炎であれば、毎日の歯みがきや歯間清掃によって歯垢が減ると、出血も少しずつ落ち着いてくることがあります。


ただし、歯垢が硬くなった「歯石」は、歯ブラシでは取り除くことができません。


また、歯周病が進行して歯と歯ぐきの間の溝が深くなっていると、ご自宅での歯みがきだけでは十分に清掃できないことがあります。


このような場合は、歯科医院で歯石を除去し、歯ぐきの状態に合った磨き方を確認する必要があります。


出血の原因は歯周病だけではありません


歯ぐきからの出血は、必ずしも歯周病だけが原因とは限りません。


強すぎる歯みがきや、歯ブラシ・デンタルフロスによる傷でも出血することがあります。


そのほか、妊娠中のホルモンバランスの変化、服用している薬、血液の病気などが関係する場合もあります。


血液を固まりにくくする薬を服用している方は、自己判断で薬を中止せず、歯科医師や処方した医師に相談してください。


このような場合は歯科医院へ


次のような症状がある場合は、一度歯科医院で確認してもらいましょう。


  • 丁寧に磨いても出血が続く

  • 毎回同じ場所から出血する

  • 歯ぐきが赤く腫れている

  • 口臭が気になる

  • 歯ぐきから膿が出る

  • 歯がぐらつく

  • 歯ぐきが下がってきた

  • 何もしていないのに出血する


出血量が多い、なかなか止まらない、鼻血や皮下出血など口以外の出血もある場合は、歯科だけでなく医科への相談が必要になることもあります。


まとめ


歯みがきのときに歯ぐきから少し血が出ても、歯みがきをやめる必要はありません。


出血する部分を避けると歯垢が残り、歯ぐきの炎症が改善しにくくなります。


ただし、強く磨いて血を出すのは逆効果です。


歯ブラシの毛先をやさしく当て、歯と歯ぐきの境目を丁寧に清掃しましょう。


歯ぐきからの出血は、歯肉炎や歯周病の初期症状であることがあります。


「痛くないから大丈夫」と放置せず、出血が続く場合は早めに歯科医院で確認を受けましょう。

2026年8月25日火曜日

かのまた歯科のホームページをリニューアルしました



10年以上前に作った、かのまた歯科のホームページ。


見た目も少し古くなり、スマートフォンでは見づらいところもあったため、今回、思い切って作り直しました。


開業前に最初のホームページを作ったときは、1か月ほどパソコン教室に通い、分からないことを一つひとつ調べながら、かなり苦労して完成させました。


それが今回は、ChatGPTに相談しながら作業を進めたところ、ホームページの形になるまで本当にあっという間でした。


「ここをもう少し見やすくしたい」


「スマートフォンでは、この順番で表示したい」


「文章をもう少し分かりやすくしたい」


そんな細かな希望にも対応してくれるので、10年前との違いに驚くばかりです。


もちろん、すべて自動で完成したわけではなく、掲載する内容や写真を選んだり、実際の表示を確認したりしながら、少しずつ調整しました。


新しいホームページでは、診療時間や診療内容、初めて受診される方からよくいただく質問などを、できるだけ分かりやすくまとめています。


スマートフォンからも、以前より見やすくなったと思います。


10年前は、「自分でホームページを作る」だけでも大仕事でしたが、今ではAIに相談しながら、ここまでできる時代になりました。


便利な時代になったなぁと、改めて実感しています。


もうAIなしでは生きていけないかもしれません。


まだ写真や文章等少しずつ修正するところはありますが、今後も必要な情報を分かりやすくお伝えできるよう、ホームページを更新していきたいと思います。


新しくなった、かのまた歯科のホームページ(https://kanodent.com/)ぜひご覧ください。

2026年8月6日木曜日

お盆休み中に歯が痛くなったら?

 


連休中の歯のトラブルと応急処置

お盆休みは、帰省や旅行、家族での食事など、いつもと生活リズムが変わりやすい時期です。


一方で、歯科医院も休診になることが多く、


「急に歯が痛くなったらどうしよう」


「詰め物が取れてしまったらどうすればいい?」


と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。


今回は、お盆休み中に起こりやすい歯のトラブルと、ご家庭でできる応急処置、そして早めに受診した方がよい症状についてお話しします。


歯が痛いときの応急処置

急に歯が痛くなったときは、まず無理に触ったり、強く噛んだりしないようにしましょう。


痛みがある部分に食べかすが詰まっている場合は、歯ブラシやデンタルフロスでやさしく取り除いてください。強くこすったり、つまようじで無理にいじったりするのは避けましょう。


痛みがつらい場合は、市販の痛み止めを使うことで一時的に楽になることがあります。


ただし、薬は用法・用量を守り、持病がある方、妊娠中の方、小さなお子さんの場合は、薬剤師や医師に確認してから使用してください。


また、痛みがあるときに入浴や飲酒をすると、血流がよくなり痛みが強くなることがあります。


強い痛みがあるときは、飲酒や長風呂は控えた方が安心です。


腫れや発熱がある場合は注意が必要です

歯の痛みに加えて、歯ぐきや顔が腫れている、発熱がある、口が開きにくい、飲み込みにくいといった症状がある場合は、炎症が強くなっている可能性があります。


このような場合は、我慢せず、休日急患歯科診療や医療機関に相談してください。

特に、


  • 顔が大きく腫れている

  • 熱がある

  • 口が開きにくい

  • 飲み込みにくい

  • 息がしづらい


このような症状がある場合は、早めの対応が必要です。


「連休明けまで待てばいいかな」と無理に我慢せず、状態によっては救急受診も検討しましょう。


詰め物・被せ物が取れたとき

お盆休み中は、久しぶりの外食やごちそう、硬いもの、粘着性のある食べ物などで、詰め物や被せ物が取れてしまうことがあります。


取れた詰め物や被せ物は、捨てずに保管しておいてください。再利用できる場合もあります。


ただし、ご自身で接着剤を使って戻すのは絶対にやめましょう。


歯や歯ぐきを傷めたり、その後の治療が難しくなったりすることがあります。


取れた部分で噛むと、歯が欠けたり、しみたり、痛みが出たりすることがあります。受診までの間は、できるだけ反対側で噛むようにしましょう。


痛みがない場合でも、穴が開いた状態を長く放置すると、むし歯が進行することがあります。連休明けには早めに歯科医院で確認を受けましょう。


歯ぐきが腫れたとき

歯ぐきの腫れは、疲れや寝不足、生活リズムの乱れをきっかけに出ることがあります。


お盆休みは、移動や外食、夜更かしなどで体調が乱れやすく、もともと炎症があった部分が腫れてくることもあります。


腫れている部分を強く押したり、針などでつぶしたりするのは危険です。


一時的に楽になったように感じても、炎症が広がる可能性があります。


歯みがきは無理のない範囲でやさしく行い、強い痛みや腫れがある場合は、早めに歯科医院や休日急患診療に相談してください。


以前処方された抗菌薬が残っていても、自己判断で飲むことはおすすめできません。症状に合わない場合や、必要な治療が遅れてしまうことがあります。


冷たいものがしみるとき

冷たい飲み物やアイスで一時的にしみる場合、知覚過敏や小さなむし歯、歯ぐき下がりなどが原因のことがあります。


しみる症状が一瞬でおさまる場合は、急を要しないこともありますが、症状が続く場合は注意が必要です。


特に、


  • 何もしなくてもズキズキ痛い

  • 夜眠れないほど痛い

  • 温かいもので痛む

  • 痛みが長く続く


このような場合は、歯の神経に炎症が起きている可能性があります。連休明けまで我慢できないほどの痛みがある場合は、休日急患診療などに相談しましょう。


連休中にやってはいけないこと

歯のトラブルが起きたとき、自己判断での処置はかえって悪化につながることがあります。


特に次のようなことは避けましょう。


  • 取れた詰め物を接着剤で戻す

  • 腫れた歯ぐきを自分でつぶす

  • 痛い歯を無理に使って噛む

  • 以前もらった薬を自己判断で飲む

  • 痛みがあるのに飲酒や長風呂をする

  • 痛みが強いのに何日も我慢する


応急処置は、あくまで一時的な対応です。


痛みが落ち着いたとしても、原因が治ったわけではありません。


休み前から違和感がある方は早めの受診を


「少ししみる」
「噛むと違和感がある」
「歯ぐきが腫れぼったい」
「詰め物が浮いている気がする」


このような症状がある方は、連休中に悪化してしまうことがあります。


お盆休みは、歯科医院も休診になることが多いため、気になる症状がある方は、できるだけ休み前にご相談ください。


特に、強い痛みや腫れが出てからでは、応急処置しかできない場合もあります。


早めに確認しておくことで、安心して連休を過ごしやすくなります。


まとめ

お盆休み中は、生活リズムや食生活が変わり、歯のトラブルが起こりやすくなることがあります。


歯が痛いときは、無理に触らず、痛み止めなどで一時的に対応できる場合もあります。


詰め物や被せ物が取れたときは、捨てずに保管し、ご自身で接着剤を使って戻さないようにしましょう。


また、顔の腫れ、発熱、飲み込みにくさ、息苦しさがある場合は、早めの対応が必要です。


連休中に強い痛みや腫れなどの急なトラブルが起きた場合は、新潟市口腔保健福祉センターの急患診療もご確認ください。(新潟市口腔保健福祉センター 急患診療はこちら)


応急処置で痛みが落ち着いても、原因が無くなったわけではありません。


連休明けには、できるだけ早めに歯科医院で確認を受けましょう。


お盆休みを安心して過ごすためにも、気になる症状がある方は、早めの受診をおすすめします。



2026年7月16日木曜日

市販のホワイトニング歯磨き粉って効果ある?



「ホワイトニング歯磨き粉を使えば、本当に歯は白くなりますか?」


患者さんから聞かれることがあります。


ドラッグストアには、「歯を白くする」「ホワイトニング」「ステイン除去」などと書かれた歯磨き粉がたくさん並んでいます。


普通の歯磨き粉より少し値段が高い商品もありますが、実際にはどのくらい効果があるのでしょうか?


結論としては、歯の表面についた着色汚れを落とす効果は期待できます。


しかし、歯そのものの色を白くする効果は、あまり期待できません。


「着色を落とす」と「歯を白くする」は違います


歯が黄色く見える原因は、大きく分けて2つあります。


ひとつは、コーヒー、お茶、赤ワイン、カレー、タバコなどによって、歯の表面についた着色汚れです。


このような着色汚れは、「ステイン」と呼ばれます。


もうひとつは、歯の内側にある象牙質の色や、加齢などによる歯そのものの黄ばみです。


日本で一般的に販売されているホワイトニング歯磨き粉の多くは、歯を漂白して白くするものではありません。


研磨成分や、着色汚れを浮かせる成分などによって、歯の表面についたステインを落とし、本来の歯の色に近づけるものです。


そのため、コーヒーやお茶をよく飲む方や、歯の表面のくすみが気になる方は、効果を感じやすいことがあります。


一方で、もともとの歯の色や、加齢による黄ばみは、歯磨き粉では大きく変わりません。


歯科医院のホワイトニングとの違い


歯科医院で行うホワイトニングは、専用の薬剤を使って、歯に含まれる色素を分解します。


歯の表面の汚れを落とすだけではなく、歯そのものの色を明るくする処置です。

つまり、


ホワイトニング歯磨き粉は、表面の着色を落として、本来の歯の色に近づけるもの。


歯科医院のホワイトニングは、歯そのものの色を明るくするもの。


と考えると分かりやすいでしょう。


なお、詰め物や被せ物、差し歯などの人工物は、ホワイトニングをしても白くなりません。


歯磨き粉を使えば使うほど白くなる?


早く白くしたいからといって、力を入れてゴシゴシ磨くのはおすすめできません。


着色を落とすタイプの歯磨き粉には、研磨作用のある成分が配合されていることがあります。


硬い歯ブラシを使って強く磨き続けると、歯の表面や、歯ぐきが下がって露出した歯の根元に負担をかけてしまう可能性があります。


歯ブラシの毛先が広がらない程度の軽い力で磨きましょう。


知覚過敏がある方や、歯ぐきが下がっている方は、「低研磨」や「知覚過敏ケア」と表示された歯磨き粉が向いていることもあります。


歯磨き粉を選ぶときはフッ素も確認しましょう


歯を白くすることだけに気を取られて、虫歯予防がおろそかになってはいけません。


成人の方は、フッ素濃度が1,450ppm程度の歯磨き粉を選ぶことをおすすめします。


毎日使うものなので、ホワイトニング成分だけでなく、虫歯予防の効果も確認して選びましょう。


歯科医院で確実にクリーニングしましょう


ホワイトニング歯磨き粉を使っても着色が取れない場合は、歯石が付着していたり、歯の細かな傷や段差に着色が入り込んでいたりすることがあります。


このような場合は、歯科医院で専用の器具を使ってクリーニングしましょう。


ただし、クリーニングで落とせるのも、基本的には歯の表面についた汚れです。


クリーニングをしても歯の黄ばみが気になる場合は、歯そのものの色が原因かもしれません。


市販のホワイトニング歯磨き粉は、まったく効果がないわけではありません。


歯の表面についた着色汚れを落としたり、新しい着色をつきにくくしたりする目的には役立ちます。


しかし、歯そのものを大きく白くするものではありません。


「着色汚れなのか、もともとの歯の色なのか」は、ご自身では判断しにくいこともあります。


歯の色が気になる方は、お気軽に歯科医院でご相談ください。




2026年6月10日水曜日

熱中症対策のつもりが、むし歯の原因に?



少しずつ暑くなってきました。

この時期から気をつけたいのが「熱中症」です。

熱中症予防には、こまめな水分補給、暑さを避けること、無理をしないことが大切です。

暑くなると、「熱中症対策」としてスポーツドリンクや塩分タブレットを手に取る方も多いのではないでしょうか。

「熱中症対策に良さそう」
「水より体に良さそう」
「子どもに持たせておけば安心」

そう思っている方も多いかもしれません。

しかし、歯科の立場から見ると、スポーツドリンクや塩分タブレットの使い方には注意が必要です。


スポーツドリンクは「水」ではありません

スポーツドリンクには、糖分や塩分が含まれています。

たとえば、500mlのスポーツドリンクには、商品によって約20〜30g前後の糖分が含まれているものがあります。

これは、歯にとって決して少ない量ではありません。

特に注意したいのは、

  • ちびちび飲むこと
  • 一日かけて飲むこと
  • 水代わりに毎日飲むこと

です。

糖分を含む飲み物がお口の中に入る時間が長くなると、むし歯のリスクが高くなります。

また、スポーツドリンクは酸性のものが多く、歯の表面が少しずつ溶けてしまう「酸蝕症」にも注意が必要です。


スポーツ選手でも、お口のトラブルは少なくありません

「スポーツをしている人はみんな飲んでいるから大丈夫」
と思う方もいるかもしれません。

しかし、実際にはスポーツ選手でも、むし歯や歯ぐきのトラブルが多く見られることがあります。

海外の研究では、オリンピック選手やプロ選手の多くが毎日しっかり歯みがきをしているにもかかわらず、むし歯や歯ぐきの炎症、酸蝕症などが見られたと報告されています。

その背景のひとつとして、スポーツドリンク、エナジージェル、エナジーバーなどを頻繁にとることが指摘されています。

つまり、歯みがきをしていても、糖分や酸を何度も口にしていれば、お口のリスクは高くなるということです。


熱中症対策としても、万能ではありません

スポーツドリンクも、必要な場面はあります。

たとえば、炎天下で長時間運動する場合や、大量に汗をかく作業をする場合です。

しかし、日常生活や短時間の外出、軽い運動のたびにスポーツドリンクが必要とは限りません。

塩分は食事からある程度とれています。

日常の水分補給は、水や麦茶で十分なことも多いです。

スポーツドリンクは、必要な場面で使うものであり、水代わりに毎日飲むものではありません。


塩分タブレットも注意が必要です

塩分タブレットも「熱中症対策」として使われることがあります。

汗をたくさんかいたときに塩分を補うこと自体は大切です。

ただし、多くの塩分タブレットには、糖分や酸が含まれているものがあります。

歯科的に見ると、塩分タブレットは「塩分」だけではなく、糖分を含むお菓子に近い面もあります。

さらに、タブレットは口の中でなめたり、噛んだり、溶かしたりして食べます。

そのため、歯に糖分や酸が触れる時間が長くなりやすいのです。

「熱中症対策だから」と何度もなめる習慣は、むし歯や酸蝕症のリスクにつながることがあります。


脱水が疑われるときは経口補水液を

実際に脱水が疑われる場合は、スポーツドリンクよりも経口補水液が適しています。

経口補水液は、脱水時に失われた水分と電解質を補うために作られた飲み物です。

ただし、経口補水液も日常的に飲むものではありません。

普段の水分補給として毎日飲むのではなく、必要なときに使うものです。

また、ぐったりしている、意識がぼんやりしている、自力で飲めないといった場合は、飲み物で様子を見るのではなく、早めに医療機関を受診しましょう。


まとめ

スポーツドリンクや塩分タブレットは、大量に汗をかく運動や作業では、必要になる場面もあります。

しかし、日常的に水代わりに飲んだり、熱中症対策のつもりで何度もなめたりするものではありません。

スポーツドリンクや塩分タブレットは糖分を多く含んでいます。

熱中症対策の基本は、

  • 暑さを避けること
  • 無理をしないこと
  • 体を冷やすこと
  • こまめに水分をとること

です。

普段の水分補給は、水や麦茶を中心にしましょう。

「熱中症対策」のつもりが、むし歯を増やす習慣になっていないか。

暑くなるこの時期に、飲み物やタブレットの使い方を一度見直してみましょう。



2026年6月2日火曜日

お口の乾き、気になっていませんか?



「口の中がネバネバする」

「水がないと食事がしにくい」

「舌がヒリヒリする」

「口臭が気になる」


このような症状がある場合、口腔乾燥症、いわゆるドライマウスが関係しているかもしれません。


唾液には、お口の中を潤すだけでなく、汚れを洗い流す、細菌の増殖を抑える、食べ物を飲み込みやすくする、歯を守るといった大切な働きがあります。


唾液が減ると、口のネバつきやヒリヒリ感だけでなく、むし歯・歯周病・口臭・食べにくさ・話しにくさにつながることがあります。


口腔乾燥症の原因はさまざまです。


代表的なものには、加齢、ストレス、口呼吸、喫煙、脱水、薬の副作用、全身疾患などがあります。特に、睡眠薬や降圧薬などの薬の影響で唾液が少なくなることもあります。


また、口が乾くからといって水分をとるだけで改善するとは限りません。


唾液の量が少ないのか、口腔粘膜の潤いが低下しているのか、生活習慣やお薬が関係しているのかなど、原因を確認していくことが大切です。


当院では、口腔乾燥の状態を確認する方法のひとつとして、口腔水分計ムーカスを使用した検査を行うことがあります。


ムーカスは、舌の表面に専用のセンサーを軽く当てて、お口の中の潤いを数値で確認する機器です。測定は短時間で終わり、痛みもありません。


検査では、舌の先から少し奥の部分にセンサーを当てて測定します。口腔機能低下症の評価では、ムーカスなどの口腔水分計を用いて舌背中央部の口腔粘膜湿潤度を測定し、測定値が27.0未満の場合に口腔乾燥と判定されます。


「口が乾く」という感覚は、人によって感じ方に差があります。


同じくらい乾燥していても、強く不快感を感じる方もいれば、あまり自覚がない方もいます。


そのため、ムーカスのような機器で数値化することで、現在のお口の状態を客観的に確認しやすくなります。


また、保湿剤の使用、生活習慣の見直し、口腔ケアの改善などを行ったあとに、再度測定することで、状態の変化を確認しやすくなるのもメリットです。


お口の乾燥を放置すると、次のようなトラブルにつながることがあります。


  • むし歯になりやすくなる
  • 歯周病が悪化しやすくなる
  • 口臭が強くなる
  • 入れ歯がこすれて痛くなりやすい
  • 舌や粘膜がヒリヒリする
  • 食べ物を飲み込みにくくなる
  • 会話がしにくくなる


特にご高齢の方では、口腔乾燥は「食べる力」や「飲み込む力」とも関係します。


口腔機能低下症では、口腔衛生状態、口腔乾燥、咬合力、舌や唇の動き、舌圧、咀嚼機能、嚥下機能などを総合的に評価します。


口の乾きが気になる方は、まず次のようなことを意識してみましょう。


  • こまめに水分をとる
  • よく噛んで食べる
  • 口呼吸ではなく鼻呼吸を意識する
  • お口の保湿剤を活用する
  • アルコールや喫煙を控える
  • むし歯・歯周病の管理をしっかり行う
  • 服用中のお薬がある場合は、自己判断で中止せず、医師・歯科医師に相談する


ただし、乾燥の原因によって必要な対応は変わります。
「水を飲めばよい」というだけでは改善しない場合もあります。


お口の乾きは、日常生活の不快感だけでなく、むし歯、歯周病、口臭、食べにくさ、話しにくさなどにも関係します。


「最近、口が乾く」
「舌がヒリヒリする」
「口臭が気になる」
「食事中に水分がないと飲み込みにくい」


このような症状がある方は、我慢せずに一度ご相談ください。


ムーカスによる検査では、お口の潤いを短時間で数値として確認することができます。


お口の乾燥が気になる方は、早めに状態を確認し、必要に応じたケアを行っていきましょう。